公務員が休憩時間・昼休みに株取引、職務専念義務違反になる?

公務員が仕事中・勤務時間中に株取引をすれば職務専念義務に違反したことになります。
ばれれば懲戒処分の対象となる行為です。

では、公務員が休憩時間・昼休みに株取引をしたらどうなるのでしょう。


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公務員の株取引と休憩時間

公務員には服務上の義務として職務専念義務が課されています(国家公務員法第101条、地方公務員法第35条)。
これに違反すると懲戒処分の対象となります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。

したがって、公務員が勤務時間中に株取引をすれば、職務専念義務違反として懲戒処分の対象となってしまいます。

公務員の休憩時間とは

公務員の休憩時間は、労働基準法第34条に規定される休憩時間と同様に取り扱われます。
すなわち、休憩時間は「労働時間の途中に置かれた、労働者が権利として労働から離れることを保証された時間」であり、原則として次の3つを満たすことが必要です。

  • 休憩時間は労働時間の途中に置かれる
  • 休憩時間は労働から離れることが保証される
  • 休憩は一斉に与えられる

休憩時間には労働から離れることが保証される、つまり職務専念義務が免除されます。
したがって、休憩時間であれば職務専念義務違反となることはなく、自由に使うことができます。

なお、国家公務員の休憩時間は、勤務時間法(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律)第9条に基づき人事院規則により各省各庁の長が置きます(人事院規則15-14)。
また、地方公務員の休憩時間は、各自治体が定める「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」等に基づき「職員の勤務時間、休憩時間等に関する規程」等により任命権者が置きます。

休憩時間中の株取引で気をつけること

休憩時間は職務専念義務が免除されているので、株取引も自由にできそうです。
しかし、必ずしもそうではないのです。

休憩時間に株取引ができないことも

国家公務員の休憩時間は各省各庁の長が、地方公務員の休憩時間は任命権者が置くことになっていて、
正午から午後1時となっていることがほとんどです。

一方、株取引ができる証券取引所が開いている時間は、平日の午前9時から午前11時30分までと午後0時30分から午後3時までの計5時間です。

休憩時間は自由に使える時間なので、株取引の注文を出すことはできます。
しかし、株価の動きを見ながら注文できるのは、午後0時30分から午後1時の30分間のみとなります。

休憩時間に取引が終わらないと職務専念義務違反

休憩時間中に取引が完了すれば、基本的に問題ありません。

しかし、完了しないまま休憩時間が終わり、勤務時間になってしまうと、その時点で職務専念義務違反ということになります。

また、仕事に戻ったものの値動きが気になり、離席して取引をしてしまう、というのは完全に職務専念義務違反です。

取引に熱中してしまうと、ついうっかり、ということにもなりかねません。
勤務時間に影響がないように、冷静になることが重要です。

振り替えた休み時間は対象外

職場によっては、電話当番などで、昼休みを振り替えることもあるでしょう。
この振り替えた昼休みについては、職場で便宜的に対応している者であり、厳密にいえば職務専念義務の免除は適用されません。

例えば振り替えた昼休みに食事に出て、そこで株取引をしていたとします。
それを見た住民が職務専念義務違反だと職場に通報したとすると、厳密にいえばそのとおりになってしまいます。
おそらく職場は住民に事情を説明して理解を得られるようにしてくれるでしょう。
ただ、今後外で株取引をするなと注意は受けることになると思われます。

誤解を受けるようなことはしないほうが得策かもしれません。

株取引をしていることがばれる

休憩時間に株取引をすれば、職場に株取引・株式投資をしていることがばれるおそれがあります。
職場内ですれば職場や上司・同僚に、職場外ですれば住民に見られます。

確かに、公務員が株取引・株式投資をしても、基本的には問題ありません。
公務員の副業には制限がありますが、株取引・株式投資については基本的には制限はありません。
もちろん、贈収賄やインサイダー取引等の法令に違反するものはダメですが、株取引・株式投資は預貯金同様の資産運用の手段であって、禁止されているわけではありません。

しかし、職場や上司によっては株取引・株式投資に対して好意的でないこともあります。
そんな職場や上司にあたってしまうと、何かと面倒なことが増えます。
ときには株取引・株式投資を止めるように指導されることすらあります。

また、住民の中には公務員が株取引・株式投資をすることを問題視する人もいないわけではありません。
住民の声には丁寧に対応しなければならなくなります。

法的に問題がないことでも、面倒事が増えることになるおそれがあるのです。

勤務時間中の株取引にかかる懲戒処分

勤務時間中に株取引をしていたため、懲戒処分となった事例は少なくありません。
具体的な事例をいくつか挙げていきます。

平成26年12月・停職1カ月

公安調査庁の公安調査事務所長が停職1カ月の懲戒処分となっています。
所長室で職場のパソコンや私物のスマホで勤務時間中に約300回の株取引をしていたとのことです。
組織内の情報に基づく内部調査で発覚しています。
処分を受けた職員は処分と同日付で辞職しています。

平成30年4月・減給10分の1(3カ月)

都内税務署勤務の国税徴収官が減給10分の1(3カ月)の懲戒処分となっています。
約4年8カ月間に、勤務時間中にスマホで計1314回の株取引をしていたとのことです。
インサイダー取引はなかったものの、所管の法人の株を取引したという内規違反があったようです。

平成30年6月・減給10分の1(3カ月)

千葉県内の税務署所属の男性国税調査官が減給10分の1(3カ月)の懲戒処分となっています。
約4年7カ月間に、勤務時間中にスマホで計2,291回株取引や外国為替証拠金取引(FX)をしていたとのことです。
取引は庁舎内のトイレや出張中の電車内でしていたようで、「自制心が働かずやってしまった」と反省しているとそうです。
ちなみにインサイダー取引はなく、取引の結果はほとんどが損失だったとのことです。

勤務時間中の株取引にかかる懲戒処分は減給または戒告が標準

国家公務員の懲戒処分

人事院の「懲戒処分の指針について」(平成12年3月31日職職―68)によれば、勤務態度不良による処分の標準例として、「勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする」としています。

また、「適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする」とされており、標準例よりも処分が重くなることも軽くなることもあります。

国家公務員が勤務時間中に株取引をした場合の懲戒処分は、減給または戒告が標準です。

公安調査事務所長の事例では、職場のパソコンの目的外使用や所長という職責の重さ等を考慮して、停職というより重い処分となったのでしょう。
なお、他の2つの事例では標準例の範囲での処分となっています。

地方公務員の懲戒処分

地方公務員の懲戒処分については、各自治体が定める懲戒処分の指針に基づいて任命権者が判断します。
そのため自治体によって懲戒処分の量定は違ってくるのが原則です。

しかし、ほとんどの自治体では人事院の「懲戒処分の指針について」と同様の内容となっています。
また、国家公務員との均衡を図るということもあります。

地方公務員の懲戒処分は国家公務員と同じ程度になることが多くなっています。
特に都道府県や政令市等、総務省の目が届く範囲ではそのようになります。

この点、人事委員会が設置されないような自治体では、別の判断になっていることも少なくないようです。


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